「職場での異文化理解」の研究 – SOPHYS Corporation CEO & President Fariza Abidova(ファリザ・アビドヴァ)さん(2/5)

SOPHYS Corporation CEO & President Fariza Abidova

  1. ウズベキスタンから神戸へ
  2. 「職場での異文化理解」の研究
  3. 独自のプログラム開発
  4. 日本企業のグローバル化課題
  5. 今後の展望

2.「職場での異文化理解」の研究

ファリザ
私は、この研究によって、日本人と外国人の双方がお互いの国や文化を知り、信頼関係を構築できるはずの多くの機会を無駄にしているという現状に気づきました。大きなロスだと思いましたね。そして、きっとビジネスの世界でも同じことが起きているに違いないと考え、「職場での異文化理解」について研究し始めました。
古森
大変興味深い分野です。研究を通じて、例えば、どんなことが分かってきましたか。
ファリザ
Fariza Abidovaあるアメリカでの研究によると、アメリカから海外に赴任したビジネスパーソンが、自国と現地の商慣習の違いが原因で失敗するビジネスの損失額は、アメリカの産業界全体で年間20億ドルにもおよぶということです(Sandhu, 2002, p. 240)。それ自体、驚くべきデータでした。そして、同じ視点で日本について研究したものがないかどうか調べたのですが、残念ながら見つけることは出来ませんでした。おそらく、当時の日本では、異文化間の理解不足や誤解がどれほどビジネスの成否を分けるものであるかという感覚が薄かったのではないかと思います。


古森
そういう問題意識は、かつてから経済界に漂ってはいます。しかし、それをビジネスの損失として定量的にとらえようとするような議論にはなっていなかったのでしょうね。
ファリザ
そこで私は、異文化の理解不足や誤解から生じる問題が、なぜ日本のビジネス界で重要視されていないのかについて研究を続けました。具体的には、100人のビジネスパーソンへのインタビューです。内訳は、グローバル・プロジェクトの経験がある日本人マネージャー30人と、日本企業で働いた経験がある外国人70人でした。
古森
インタビューとしては、かなりの数ですね。

Fariza Abidova

ファリザ
はい、お一人お一人、しっかりと話を聞いていきました。そして、インタビューを進めて行くうちに、大きな機会損失や経済的ロスにつながるような異文化間のコミュニケーション問題には、いくつかの共通のパターンがあることに気づきました。そして、それらの多くはいまだに明確な手が打たれずに放置されがちであるという状況も見えてきたのです。
古森
地道にインタビューの数をこなす中で、見えてきた共通の課題・・・。

>> 3:独自のプログラム開発