5年後のことは言えるけど決めない – 旅と平和代表 佐谷恭氏(6/6)

The Value Talk 3 株式会社旅と平和 代表 佐谷恭さん

  1. 原点は学生時代のアジア旅行
  2. 起業とパクチーハウス東京への道
  3. パクチーハウス東京からPAX Coworkingへ
  4. 本物の旅人を集めるために
  5. 東日本大震災とシャルソン
  6. 5年後のことは言えるけど決めない

Chapter 6:5年後のことは言えるけど決めない

古森
最後に、今後の方向性などがあればお聞かせください。
佐谷
そうですね・・・。「パクチーハウスを大阪、名古屋、札幌に展開!」とか言ってほしがる向きが多いですが、そういう展開には全く興味がありません。広げ過ぎてしまったら、集まってくる旅人たちとの関係が薄くなってしまいます。そういう方向には進みません。大きくは、コワーキング・スペースの事業の継続と理念の浸透、これを通じた世界とのつながり作り、シャルソンの充実と継続、そしてこだわりを持ったパクチー生産者さんへのサポートの3つが、今後の重要テーマだと見ています。
古森
こだわりを持ったパクチー生産者さんへのサポートというのは?
佐谷
パクチー狂会を始めた頃は、パクチー自体がまだ市民権を得ていない状態でした。高価だし、そもそも飲食店からの需要も少なく、パクチーのイベント企画を持ち込んでも門前払いになるケースが多々ありました。それから時代は変わり、今では東京はもちろん地方でもパクチーを出す店が増えています。そうした中で、今度は供給面の課題が出ています。一言で言うと、パクチーらしくない、個性の薄いものが混じり始めたのです。
古森
素材としてメジャーになってくると、また新たな課題が出て来るわけですね。
佐谷
そこで、量のみを追わずに質にこだわり続ける生産者さんを応援したいと思っています。パクチー自体の認知向上にこれまで力を注いできましたが、今度はその基盤を生かして生産者さんの応援です。流通のされ方なども工夫の余地がありそうです。
古森
そういうことなのですね。ところで、5年くらいのスパンで見ると、どんな経営になっていると思いますか。
佐谷
5年後ですか・・・。それを予想せよと言われれば、適当にでっちあげることはできます。でも、あえてそれはしないことにしています。だって、今の時点で言えることを本当にそのように5年後に実現しているとしたら、その間の5年間に新たに生まれうる発想を加味できていないことになりますからね。方向感は堅持しつつ、新たに生まれてくるひらめきや思い付きを生かして経営していくつもりです。
古森
計画する未来ではなく、生まれていく未来。個人のキャリア形成においても同じことが言えると思います。私も何を隠そう、「生まれていく、出来ていく」派です。
佐谷さん、今日はお忙しい中に貴重なお時間をいただき、あらためて有難うございました。そろそろ時間になりました。様々な刺激と示唆をいただきましたが、何よりも「旅人」という言葉に込めた佐谷さんの理想が、とても印象的で忘れられません。私も旅をしています。その旅を続けようと思います。またパクチーハウス東京でお会いしましょう!

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[The Value Talk] 第3回 株式会社旅と平和 代表取締役 佐谷恭さん

  1. 原点は学生時代のアジア旅行
  2. 起業とパクチーハウス東京への道
  3. パクチーハウス東京からPAX Coworkingへ
  4. 本物の旅人を集めるために
  5. 東日本大震災とシャルソン
  6. 5年後のことは言えるけど決めない